Action-2
2025.05.18
*全文を掲載しておりますが、最後の《まとめ》をご覧いただくことで、内容を簡潔にご理解いただけます。
<質問全文>
◆十一番(若林りさ 議員) 日本維新の会の若林りさです。以下、通告に基づき質問いたします。
初めに、子育て支援の包括的な推進について伺います。
不妊治療をはじめ、妊娠、出産、子育てまで切れ目のない支援体制を整えることは重要であり、世田谷区ではフィンランド発祥のネウボラの理念に基づく包括的な取組を展開しています。しかし、この支援制度の中には運用面での課題が幾つか存在します。
例えば、出産・子育て応援交付金の支給では、支給対象者が、まずネウボラ面接をし、その後、申請の案内を郵送で受け取るまでに平均1か月半から2か月、さらに申請案内が届き、電子バーコードから申請登録をし、カタログギフトカードが手元に届くまでに同程度の期間がかかり、トータルで3、4か月もかかってしまうのが実情です。申請が二度手間になっており不便との声も区民から寄せられており、迅速な支援体制の整備が求められます。
そこで伺います。出産応援ギフト、子育て応援ギフトの運用について、面談時に申請手続を完了できるように手続を簡略化し、子育て世帯が支援を必要とする時期に受け取れるよう、利便性の高い仕組みへと改善していただきたいと考えますが、区の見解を伺います。
次に、ネウボラ事業における両親学級の実施体制について伺います。
両親学級は、妊婦体験や育児体験などを通じて、夫婦で出産や育児への理解を深める重要な機会として人気の高い事業です。しかし、現行の抽せんシステムでは枠が足りなく、選考から漏れてしまうことで何度も応募せざるを得ず、希望する時期に参加できないケースが多発していると伺いました。
また、世田谷区は5つの地域に分かれていますが、平日は各地域で実施されている一方で、土日開催が玉川地域と烏山地域では行われておりません。共働き世帯にとって土日開催は人気が高く、予約が取りづらい状況に加え、一部地域に限定されているため、利用機会に地域間の偏りが生じています。
そこで伺います。両親学級について、一回当たりの参加人数の拡大や開催回数の増加など、希望する時期に参加しやすい体制を整備する予定はありますでしょうか。また、玉川地域や烏山地域での土日開催を含め、地域間の格差解消に向けた取組も推進していただきたいと思いますが、区の見解を伺います。
また、ネウボラ事業の情報発信についても課題があります。世田谷区は2016年からネウボラ事業をスタートさせ、現在の支援メニューの充実度は23区でもトップクラスを誇りますが、区民意識調査では、ネウボラ事業を「知っている」が8.9%にとどまり、多くの区民に届いていないのが現状です。
特に深刻なのは、妊娠届出を提出した方にしか支援情報を提供しておらず、今後妊娠を考えている方などのプレコンセプション期、妊娠前の区民に対して全く支援体制を周知できていません。区のホームページでネウボラ関連の情報を探そうとしても、体系的な情報にたどり着くことが困難な状況です。
対して渋谷区では、ネウボラの特設サイトを開設し、ライフステージに応じて分かりやすく情報発信しています。世田谷区の充実したネウボラ支援メニューをより広く区民に周知していくため、特に妊娠前からの情報発信の強化にどのように取り組んでいかれるのでしょうか。渋谷区のような特設サイトの開設や、ホームページでの情報提供方法の工夫、またはXやInstagram等のSNS、デジタルサイネージ等の活用など、より幅広く効果的な情報発信の手法について、区の見解を伺います。
→《区の答弁》
◎向山 世田谷保健所長 私からは、保健所所管の3点についてお答え申し上げます。
まず1点目、ネウボラの中でのギフトの取扱いでございます。
区では、国の出産・子育て応援交付金を活用した経済的支援として、出産・子育て応援ギフトを妊娠時、出産後の2回、東京都の広域連携事業によるカタログギフトカードによって支給しております。
経済的支援は、ネウボラ面接等の伴走型相談支援と一体的に実施する必要があり、出産応援ギフトは妊娠期面接後に、子育て応援ギフトは乳児期家庭訪問後に、要件を満たす対象者をシステムより抽出し、申請案内を郵送しています。
なお、支給対象者が申請案内からポータルサイトにアクセスして、オンライン申請を行って、審査完了後にギフトが支給されますが、現在、面談後に申請案内を受け取るまで、申請後にギフトが手元に届くまでのそれぞれに約1、2か月の期間を要しており、課題であると認識しています。
国は本交付金を法制化し、令和7年4月より妊婦のための支援給付として、原則現金で支給する方針を明らかにしており、区では、今後必要となるギフトカードから現金支給への運用の変更対応と併せて、面接時に申請案内をお渡しするなど、利便性の向上に向け関係所管と検討してまいります。
次に、両親学級のアクセス等についてのお尋ねです。
区の両親学級は、対面及びオンラインにて開催しており、対面講座は平日50回、休日60回を実施しています。
また、各回の定員は平日10組、休日20組としていますが、開催日によっては応募者が集中して予約が取りにくい状況が生じていることは認識しております。
休日の開催場所につきましては、令和5年度は2か所で実施していましたが、今年度より成城ホールを追加し、3か所で実施しているところです。区は希望する妊婦及びパートナーが適切な時期に両親学級に参加していただけるよう、定員の拡大や地域偏在の解消等について引き続き検討し、関係団体、機関との調整に努めてまいります。
(3点目は2つ目の動物施策・地域共生の取組についてに続きます。)
◎松本 子ども・若者部長 私からは、ネウボラの情報の効果的な発信について御答弁いたします。
区では、平成28年度から、子どもを産み育てやすい町を目指して世田谷版ネウボラを開始し、切れ目のない子育て支援に取り組んでおります。
世田谷版ネウボラの周知では、妊娠届出の際にお渡しする母と子の保健バッグに、妊娠から出産後の子育て応援メニューをすごろく形式で御確認いただける妊娠・出産・子育てガイド等を同封し、ネウボラ面接の機会等に直接説明することで、分かりやすいとの好評をいただいております。
また、昨年度は世田谷版ネウボラのYouTube動画を配信し、より多くの区民の皆様にも知っていただくためのコンテンツを用意しましたが、当事者以外の若年層への周知に関しましては、まだまだ課題があると認識しております。
引き続き、区のホームページやSNS等による発信、デジタルサイネージの活用、さらには青少年交流センターや若者対象のイベント等の機会を捉えた周知啓発を行うなど、様々な機会を捉え、より幅広い世代に伝わるよう取り組んでまいります。
以上です。
再質問
◆十一番(若林りさ 議員) 両親学級についてですが、休日開催の定員の増加や、開催場所を五地域全てに拡大するということは、子育て支援において急務だと考えます。こちらは速やかに実現に向けた取組を進めていただきますよう強く要望いたします。
私からの質問は以上となります。
===========
《まとめ》
妊娠・出産・子育てを支える制度が、必要な時にしっかり届く仕組みになっているかを問い、見直しを求めました!
■ 応援ギフト、届くのに最大4か月?
現在、出産・子育て応援ギフトの受け取りには、申請や郵送などの手続きで3~4か月かかるケースもあります。
「手続きが面倒」「必要な時期に間に合わない」との声が届いています。
そこで私は、面談時にその場で申請できる仕組みへの見直しを要望しました。
➡ 区も、今後は現金支給に移行予定で、手続きの簡略化を検討中とのことです。
■ 両親学級、土日はどこでも受けられるように
出産や育児への理解を深める「両親学級」は人気ですが、抽選制で選考から漏れてしまうことで、何度も応募せざるを得ず、妊娠期の大事な希望する時期に参加しにくい状況が起きています。
また、共働き世帯に需要の高い土日開催が、一部地域に偏っており、利用機会の偏りの解消の推進を求めました。
➡ 区は、定員拡大とともに、地域間の偏り解消に向けて取り組むと答弁。私は今後、全地域での開催を早期に実現するよう求めました。
■ ネウボラ、知ってますか?
世田谷区のネウボラ制度は非常に充実していますが、区民の認知度は8.9%にとどまっています。
支援の情報を、妊娠届出を提出した方にしか提供しておらず、特に、プレコンセプション期である妊娠前の方には情報がほとんど届いていない状況の改善を求めました。
➡ 区は、SNSやデジタルサイネージ、若者向けイベントなどで情報発信を強化するとのことでした。
制度があっても、届かなければ意味がありません。
今後も「誰一人取り残さない」子育て支援を目指して、改善を求めていきます。
1.「子育て支援の包括的な推進について」応援ギフト、届くのに最大4か月?、両親学級、抽選に落ちたらどうすれば? あるだけでは意味がない!ネウボラの周知向上!支援が届く仕組みを!【令和6年第4回定例会】