Action-2
2025.05.10
*全文を掲載しておりますが、最後の《まとめ》をご覧いただくことで、内容を簡潔にご理解いただけます。
<質問全文>
◆若林りさ 委員
初めに、ふるさと納税について質問いたします。
本区はふるさと納税による流出額が109億円に達し、23区で初めて100億円を超えたことが大きな話題となりました。この課題に対応するため、区は令和4年11月に返礼品の大幅な拡充を行ったことで、寄附金額にも一定の増加が見られているとのことです。取組が進んでいることは評価するべきですが、直近の報告では110億6900万円と前年度比で11億7700万円の増となりました。依然として流出額が増えているのが現状です。理由の一つとして、ふるさと納税制度の設計上の問題だということも理解しておりますが、課題解決には程遠いことが懸念されます。
この状況を踏まえながらも、今できることとして、返礼品の充実と拡充は急務であると考えます。現在、返礼品の中では、区内の人気スイーツをはじめとした食関連の返礼品がそろってきたように感じますが、特に文化的な返礼品の充実がまだ不十分であると感じています。区民の方々からも、もっと区の魅力を発信する手段として、より一層の工夫を求める声も寄せられています。
例えば世田谷区は漫画やアニメの舞台となることもあり、こうしたコンテンツを生かした返礼品は注目される可能性が十分にあります。また、今年、名誉区民に選ばれた横尾忠則氏のような著名なアーティストの作品や、同じく名誉区民に選出された本夛一夫氏の本多劇場など、劇場の活用も考えられます。世田谷区の名誉区民には、松任谷由実さん、石川さゆりさん、美輪明宏さんなど有名な方々が名を連ねています。そのような芸術に携わる方々の御協力をいただいたり、アニメ、漫画等の文化コンテンツを活用したふるさと納税でしか手に入らないオリジナルグッズなども有力な提案です。このような文化資源を積極的に活用し、世田谷区独自の魅力をさらに発信していく方策についてどのようにお考えか、お聞かせください。
◎斉藤 ふるさと納税対策担当課長 世田谷区には文化、芸術に触れることができる場所が充実し、文化・芸術活動も盛んであることから、ふるさと納税に関しても、世田谷美術館や世田谷文学館を訪れていただけるよう、企画展、収蔵品展の招待券など、それから、自宅でも親しんでいただけるように向井潤吉氏の版画作品、美術館の収蔵作品シートセット、文学館コレクション図鑑などを御用意しているところでございます。
このような世田谷ゆかりのものについても、ふるさと納税の返礼品として設定するには地場産品基準をクリアする必要があり、区内での製造、加工の工程のうち主要な部分が行われていることや、区の広報目的で生産されたもので、その内容、名称から区独自の返礼品であることが明白なものである必要がございます。委員御提案の返礼品等については、これらの基準適合性なども勘案し、今後可能性を検討してまいります。
◆若林りさ 委員 返礼品の内訳の数を出していただいたんですけれども、全体160弱のうち食品関連が約100、そして文化関連が7ととても少ない数字だなと思っております。今後基準を踏まえながらも、世田谷区独自の返礼品を考えていただきたいと思います。
実際渋谷区は、2022年に開始されたアニメ「ラブライブ! スーパースター!!」をその年度中に合わせてふるさと納税の返礼品として取組を行ったという実績もあります。とてもスピード感がありまして、PR効果が高い取組だなと思いました。世田谷区では、例えば下北沢が舞台となった「ぼっち・ざ・ろっく!」など、人気アニメの活用等も御検討いただきたいと思います。また、名誉区民の方々の御協力に関しても、併せて要望いたします。
そこで、世田谷区の特色を生かした新たなオリジナル返礼品の提案をさせていただきます。株式会社サンリオは、自治体等におけるキャラクター使用について柔軟な姿勢を示しております。特にハローキティの使用に対しては版権利用が非常に柔軟であり、既に先日行われましたせたがやふるさと区民まつりでもキティとのコラボグッズが人気を博しておりました。
そこで、新たに世田谷キティの創出を提案いたします。世田谷区の文化資源である豪徳寺の招き猫とコラボさせることで、世田谷の歴史と現代文化を融合させた、ほかにはないユニークな返礼品となる可能性があります。招き猫とキティちゃん、どちらも猫つながりでありますし、親和性も高いと考えます。このような世田谷区ならではの魅力的な返礼品の企画、開発について区としてはどのようにお考えでしょうか。世田谷キティの創出や豪徳寺の招き猫とのタイアップに関して、具体的な検討の可能性や想定される課題などがあればお聞かせください。
◎斉藤 ふるさと納税対策担当課長 御指摘のような全国的に有名なキャラクターを活用することは、世田谷を盛り上げるよい手法の一つと考えております。ただ、一方で、ふるさと納税の返礼品として扱うには、先ほども申し上げたとおり、地場産品基準に該当する必要がございます。これを国に事前に申請して認められる必要がございます。地場産品基準の類型としては、例えば区内で製造や加工等の工程のうち、主要な部分を行うことで相応の付加価値が生じているものであることの類型第三号であるとか、あとは区の広報目的で生産された区のキャラクターグッズ、オリジナルグッズ、その他これらに類するものであって、形状や名称等から区の独自の返礼品等であることが明白であることの類型第五号となっております。この第五号につきましては、一般的に流通しているものに区のロゴをプリントするのみでは該当しないといったことの細かいルールもございます。また、このほか、返礼品等の調達費用は寄附額の三割以内に抑えるという経費に関する基準もございます。
御指摘のキャラクターの活用については、地場産品基準類型の合致と諸条件を整理した上で、今後可能性を検討させていただきます。
◆若林りさ 委員 なかなか細かい基準があるということは承知しましたが、ふるさと納税に関しては、特に若い世代が多く寄附をしているという傾向がありますので、返礼品に関しては様々なアイデアや工夫をしていただきたいと思います。ふるさと納税を単なる税収対策ではなく、区の魅力をアピールする観点からも取り組み、総合的な発展につながる施策として位置づけ、魅力的な返礼品の開発から効果的な広報戦略まで一貫した取組を進めていただくことを強く要望いたします。
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《まとめ》
世田谷区は23区内で初めて100億円を超えた流出額が話題となっており、制度の問題も承知しておりながら、少しでも流出額を抑えるためには返礼品の拡充が急務です。特に、世田谷区ではもっと他地域からも魅力のある返礼品を増やして欲しいと要望されることが多いです。例えば世田谷区は下北沢が舞台となった「ぼっち・ざ・ろっく!」などのアニメを始め様々なキャラクターの活用、そして横尾忠則氏のような著名なアーティストの作品や、本夛一夫氏の本多劇場など、劇場の活用も考えられます。松任谷由実さん、石川さゆりさん、美輪明宏さん著名な名誉区民のご協力など文化的魅力や力をもっと発揮していただきたいと思っています。また、新たに世田谷キティなど独自のコラボグッズなどを提案し、区をPRする観点からも取り組み、返礼品の工夫を行っていただきたいことを強く要望いたしました。
ふるさと納税は地場産品基準という細かな規定が年々厳しくなってきており、今まで人気だった返礼品でさえ除外されてしまうなどの現状も起きていることが分かり難しいことも理解できましたが、今後世田谷のPRにより力を入れていただけることを期待します。
1.「ふるさと納税、世田谷区は100億円以上流出!魅力的な返礼品を迅速に増やせ!アニメやキャラクター、名誉区民のご協力など区の持つ文化的な力をもっと打ち出すべき!」【令和6年決算特別委員会】