日本維新の会 世田谷区議会議員 若林りさ
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議会質問

2025.09.17

1.「外国人住民との共生と適正な行政サービスについて」話題の外国人の税の未納・滞納問題、世田谷区ではどうなっている?【令和7年第3回定例会一般質問】

【令和7年9月第3回定例会 一般質問】

1.「外国人住民との共生と適正な行政サービスについて」(質問数4+再質問1+要望1)

*全文を掲載しておりますが、最後の《まとめ》をご覧いただくことで、内容を簡潔にご理解いただけます。

<質問全文>

○十一番 若林りさ議員 日本維新の会の若林りさです。以下、通告に基づき質問いたします。

外国人住民との共生と適正な行政サービスについて伺います。

世田谷区の外国人住民数は約二万八千人を超え、年々増加傾向にあり、ここ十年ほどで倍近くとなっています。二十三区内で割合は低いものの、実数は決して少なくなく、時代に即した対応が急務です。

近年、外国人の住民税や社会保障負担に関する報道や国会での質疑が相次ぎ、未納や負担の在り方への社会的関心が高まっています。だからこそ、客観的データを示し、現状と取組を分かりやすく説明する体制は、多文化共生を進める上で欠かせません。

しかし、世田谷区では、外国人と日本人の住民税や国民健康保険料の収納率を分けて把握していないと聞いています。これでは実態に基づく政策立案や区民への説明が難しいのではないでしょうか。

先進自治体では、既にデータを整備し、収納率に応じた多言語周知などの具体的な対応を進めています。適切な行政運営のため、外国人住民と日本人住民の住民税、国民健康保険料の収納率を分けて把握するデータ整備を早急に行うべきと考えますが、区の見解を伺います。

さらに、督促状の多言語対応についても課題があります。表示される資料を御覧ください。

こちらは住民税の督促状ですが、二次元コードを活用した多言語対応を導入しています。しかし、その案内自体が、外国人の方はこちらのホームページを御覧ください。(多言語に対応しています)という小さな日本語表記に限られており、外国人住民には存在自体が分かりにくく、このお知らせが届いたとしても、情報にたどり着きづらい状況です。分かりやすい周知のためには、二次元コードの場所と役割が一目で分かるよう、主要言語で目立つ形に改善する必要があると考えます。

一方で、国民健康保険の督促状はこちらとなります。表面が日本語、裏面が英語、中国語、韓国語の三言語対応にとどまり、二次元コード等による多言語対応が行われておりません。世田谷区にはこれら以外の言語を母語とする住民も多く、確実な情報伝達のためには、より幅広い言語での対応が不可欠です。

そこで伺います。住民税、国民健康保険の督促状双方について、二次元コードを活用した多言語対応を拡充し、主要言語での案内表示の強化など、確実に周知できる形で改善すべきと考えますが、区の見解を伺います。

次に、高額療養費制度について伺います。

現在、観光ビザで入国後に在留資格を変更し、国民健康保険へ加入、直後に高額医療を受けて帰国する不正利用の事例があり、制度の持続性を損なうおそれがあります。もちろん大多数の外国人住民は、日本人同様に保険料を納め、適正利用していますが、こうした一部の不正を防ぐには、適切な審査体制が必要です。

そこで伺います。国民健康保険の高額療養費制度について、外国人による不適正利用の実態をどのように把握し、どのような見解をお持ちでしょうか。また、短期間での高額利用や、在留資格取得直後の利用状況など、適正性を判断する具体的な審査基準について伺います。

最後に、構造的な課題について伺います。

外国人住民が税金や保険料を未納のまま出国した場合、海外への督促は、制度上可能であっても、実効的な徴収手段がなく、真面目に納税、納付している大多数の住民に不公平感を生む要因となっています。

例えば、入国時に一定の保証金を預かる制度を導入する、出国時に未納分を精算する仕組みなど、国レベルでの制度改正が必要です。個人住民税の現年課税化について等、検討を求めるなどの働きかけも一案です。

さらに、マイナンバーと在留カードとの連携を強化し、転居や出国の状況をリアルタイムで把握できる仕組みの構築も検討すべきと考えます。

そこで伺います。外国人住民が未納のまま出国する構造的な問題について、区として国や都にどのような制度改正要望や働きかけを行っているでしょうか。また、今後の方針についても併せて伺います。

 

→《区の答弁》

○田村財務部長 私のほうからは、外国人住民との共生と適正な行政サービスについて、住民税の関連において三点お答えいたします。

まず、外国人住民と日本人住民それぞれの住民税の収納率データを早急に整備すべきと考えるが、区の見解を伺うという質問にお答えいたします。

区の税収確保の観点から、住民税未納の方に対して、全体の収納額への影響の大きさを考慮し、税額の高い方を優先し、徴収対策の取組を進めております。

この間、世田谷区においても外国人の方が増加傾向にあり、住民税が滞納となった場合、収納額への影響が大きくなりますので、その実情を的確に把握することは大切なことであると認識しております。

今後、区といたしましては、住民税の収納率向上のため、外国人と日本人それぞれの収納率を適切に捉えられるよう検討してまいります。

次に、住民税の督促のお知らせについて、二次元コードを活用し、外国人向けの案内をしているが、適切な内容ではないので、多言語にすべきと考えるが、見解を伺うという御質問にお答えいたします。

督促状のお知らせにつきましては、お伝えすべき事項が多岐にわたり、紙面には限りがあるため、二次元コードから区のホームページに誘導し、外国人の方には翻訳の上、確認していただいているところでございます。

御指摘いただきました、外国人向けの二次元コードへの案内文の記載が日本語のみであるとの点について、今後、英語、中国語、韓国語を追記する対応を図ってまいります。

最後に、外国人住民が未納のまま出国する構造的な問題に対して、区として国や都にどのように働きかけているかについての御質問に対してお答えいたします。

この間、国においては、個人住民税の検討会を設け、様々な議論がなされており、その一つとして、外国人労働者が増加する中、賦課期日である一月一日前に帰国することにより課税できないという課題が挙げられています。

住民税は歳入の根幹となる税であり、適切に課税され、その課税に対し漏れなく徴収すべき性質のものであり、国外に転出した場合、滞納整理は難易度が高くなり、収納率も低下すると認識しております。

お尋ねの国や都への働きかけということは、現在、特段実施しておりませんが、区としては、他区の取組なども参考に、ホームページでの周知をはじめ、様々な工夫を凝らした対応を図るべく検討してまいります。

以上でございます。

○田中保健福祉政策部長 私からは、国保関連に御答弁いたします。

外国人の国民健康保険適用は、原則三か月超の在留期間決定者で、住民票に記載されているものとなります。現在、区では、外国人を分けての収納率は集計しておりませんが、滞納者につきましては、国籍の区別なく、適宜、保有財産の調査及び差押えを行い、保険料の徴収に努めております。

国は、収納状況を国籍等の情報と結びつけて把握するためのシステムを検討しており、できる限り早期に把握が可能となるよう努める方針であると聞いております。

区としては、国の調査方針や国保標準システムの進捗状況を踏まえた上で、システム改修などについて検討してまいります。

また、現在、国民健康保険料の督促状送付時には、表面が日本語による説明文、裏面が英語、中国語、韓国語の三か国語での説明文となっております。

同封チラシ上での多言語化には限界があるため、国民健康保険についても、住民税と同様の手法の案内を検討し、外国人加入者に対する国民健康保険制度の周知に努めてまいります。

高額療養費については、区では日本人、外国籍の方を問わず、毎月医療機関等から提出される診療報酬明細書を、国保法等の法令に基づいて審査し、高額療養費の算定及び支給を行っており、外国籍の方への不正な医療費の支給を確認したことはありません。

また、国民健康保険料を滞納した場合、地方税法及び国税徴収法の適用により、納付義務者の保有財産について差押えを執行することとなります。

ただし、国内法である地方税法及び国税徴収法の効力は日本国内に限られるため、国外財産に対し差押えをすることはできません。

海外出国者であっても、国内財産に対しての差押えは可能なため、引き続き国内財産による差押えを中心とし、国民健康保険料の徴収に努めながら、今後も保険者である東京都とも協力し、適切な徴収に努めてまいります。

以上です。

 

<再質問>

○十一番 若林りさ議員 督促状に関してですけれども、多言語対応を進めていただける点は評価をいたします。しかし、現在の二次元コードのリンク先は区のホームページへの案内のみで、何のお知らせなのかが分かりにくい状況です。督促状であるということや具体的な納付方法などが一目で分かるページへ直接アクセスできるよう改善すべきと考えますが、区の見解を伺います。

○田村財務部長 再質問にお答えいたします。

住民税の未納者に対する督促状のお知らせにつきまして、外国人の方には、二次元コードから納税に関するホームページを案内し、その中で確認をさせていただいているところでございます。

二次元コードのリンク先ページの内容が分かりにくいとの御指摘につきまして、今後、督促状のお知らせに関するページを別途作成し、外国人の納税義務者の方が、注意事項や具体的な納付方法などがより分かりやすいように工夫し、改善を図ってまいります。

以上でございます。

○十一番 若林りさ議員 二次元コードのリンク先のほうも、督促状のお知らせページを作成する予定との答弁で、前向きに受け止めます。

また同様に、国民健康保険の督促についても専用のページを設けていただくよう併せて要望いたします。

以上で質問を終わります。

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《まとめ》

外国人住民との共生と行政サービスの適正化について

世田谷区には約2万8千人の外国人が暮らしており、この10年でほぼ倍増しています。
税や保険料の未納が社会的関心を集める中、現状を正確に把握し、公平で信頼される行政運営を行うことが重要です。

しかし現在、区では日本人と外国人の収納率(納付率)を分けて把握しておらず、実態に基づく政策判断が難しい状況です。
私は、他自治体のようにデータを整備し、状況を的確に把握するよう求めました。区は今後、外国人と日本人を分けた収納状況の把握を検討すると答弁しました。

また、督促状の多言語対応も課題です。案内文が小さな日本語のみで分かりにくいため、主要言語で明確に表示し、二次元コードから直接納付方法にアクセスできるよう改善を提案しました。区は専用ページを新設し、英語・中国語・韓国語などでの案内強化を進める方針です。

さらに、高額療養費制度の不正利用防止や、未納のまま出国した際の徴収困難といった構造的課題についても取り上げ、国に対して制度改正を働きかける必要性を指摘しました。

 

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