日本維新の会 世田谷区議会議員 若林りさ
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議会質問

2025.06.05

1.「区民税減税について」減税か給付か?区独自で減税が可能?【令和7年第2回定例会一般質問】

【令和7年6月第2回定例会一般質問】

1.「区民税減税について」(質問数4+再質問1)

*全文を掲載しておりますが、最後の《まとめ》をご覧いただくことで、内容を簡潔にご理解いただけます。

<質問全文>

○11番 若林りさ議員 おはようございます。日本維新の会の若林りさです。以下、通告に基づき質問いたします。

初めに、区民税減税について伺います。

世田谷区では、ふるさと納税による税収の流出が続いており、その影響や課題については十分に認識しております。しかし、その上で、近年区民の皆様から最も多く寄せられる声の一つが、少しでもいいから減税してほしいという切実な要望です。物価高や社会保障負担の増加に直面する中で、自分が納めた税金が本当に有効に使われているのか、実感が持てないという声も届いています。

世田谷区では、都内でも最多の人口を抱える自治体でありますが、30から40代の子育て世代の区外転出が続いており、大きな課題となっています。その背景には様々な要因があると考えられますが、都心に近い立地による高額な住居費に加えて、税負担も軽いとは言えず、こうした環境が若い世代にとって、区外転出の一因となっているのではないでしょうか。

まず、こうした子育て世代の転出要因について、区としてどのように分析しているのか、特に経済的負担が転出の大きな要因になっているという認識をお持ちかどうかお聞かせください。

また、減税は単なる負担軽減にとどまらず、納税の中核を担う現役世代や子育て世代の定着を促し、将来的な税収基盤の安定や、次世代となる子どもたちの増加にもつながる可能性があるとの意見もあります。区民税減税が定住促進や税収安定にどのような効果をもたらすと考えるか、区長の御見解を伺います。

 

次に、具体的な減税の可能性について伺います。

名古屋市では、2010年度から市民税5%減税を継続的に実施し、税収増加や人口流入など一定の経済効果があったと言われています。世田谷区においても、区民税の所得割について独自に減税が可能かどうか改めて区に確認したところ、制度上可能であることが分かりました。つまり区民税の減税は、世田谷区が行おうと思えば実施できるということです。

このような観点から、仮に区民税を5%減税した場合、財政にどの程度の影響があり、区民一人当たりではどの程度の負担軽減になるのか、そうした試算を行ったことがあるかを伺います。また、他自治体の減税事例の効果や課題について調査する予定はあるか、併せてお聞かせください。

 

さらに、区民の可処分所得を増やす生活支援策として、減税という政策手法について、区はどのように評価しているのかも伺います。給付金や補助金は申請や審査に時間や手間を要し、事務経費もかかります。一方で、減税はあらかじめ制度に組み込まれることで、対象となる納税者に広く行き渡りやすく、手続の簡素化や行政コストの抑制につながる面もあると考えられます。こうした観点から、減税という手法をどのように評価し、政策の一つとして検討されているか、区の見解を伺います。

 

→《区の答弁》

○有馬政策経営部長 私からは、区民税減税と行政参加について合わせて九点、初めに、区民税を5%減税した場合の財政の影響と、名古屋市の市民税5%減税の検証2点について併せてお答えいたします。

名古屋市では、市民生活の支援と地域経済の活性化を図るとともに、将来の地域経済の発展を図ることを目的として、平成24年度から個人住民税及び法人住民税の税率を一律5%下げる減税を実施しています。世田谷区で名古屋市と同様に個人住民税を減税した場合の影響額についてですが、令和6年7月時点での課税データで試算しますと、約65億円の減収になります。区民一人当たりの減税額は平均で1万3200円になる見込みです。

こうした減税政策について、名古屋市は平成29年度に効果検証を行っており、その報告書によりますと、市民アンケートの結果から、市民生活の支援に一定程度寄与したと考えられるとしている一方で、経済的影響のシミュレーション分析では、平成24年度から10年間の市内総生産や民間最終消費支出などの伸び率について、減税による一定の経済効果が認められるものの、減税を実施しなかった場合の数値と比べて、必ずしも上回っているとは言い切れない分析結果となっております。今後も、他自治体で減税に関する動きがありましたら、必要に応じて調査してまいります。

次に、広く区民に恩恵が行き渡る減税政策を検討すべきについてでございます。

御提案の区独自の減税政策については、多くの区民が対象になり得るものと考えられますが、その分、区財政の影響も大きくなり、先ほどの答弁でも触れましたが、仮に個人住民税を五%減税した場合、65億円もの税収減となります。

今後、学校改築や上用賀公園拡張事業などの公共施設整備を着実に進めていく必要があるほか、年々増加する社会保障関連経費、子育て支援や学校教育、高齢者施策の充実など、様々な行政需要への対応が求められております。また、令和7年度のふるさと納税による流出額が123億円となることも併せて財政の影響を考えなくてはならず、区独自の減税については慎重に考えるべき事案と認識しております。

次に、区民税減税は、子育て世代、現役世代の定着率向上に寄与するか、また、納税の中核を担う現役世代を維持増加させることで長期的な税収の安定化にもつながるか、2点についてお答えいたします。

30代での転出超過という傾向が続いており、子育て世代の転出は区の重要な課題となっております。令和六年に実施した調査では、転出の理由は、住宅購入、就職・転勤、結婚・出産などライフステージの変化に応じたものが多く、また、家賃や物価などを転出理由とする回答も少なからずあり、経済的要因も転出につながる要素の一つであると認識しております。

区としましては、基本計画や子ども・若者総合計画(第三期)等に基づき、子育て・妊娠・出産支援や居住支援、教育に係る負担軽減策等、区民に寄り添った多様な施策を充実させることで定着率の向上を図り、多世代にわたり長期的、安定的な区政運営につなげられるよう取り組んでまいります。

→《再質問》

○11番 若林りさ議員 区民税減税についてですけれども、区長に見解を伺ったのですが、お答えいただけていないので、改めて区長は減税についてどのように捉えていらっしゃるのか、御見解をお聞かせください。

 

○保坂区長 若林議員の再質問にお答えをいたします。

区民税減税についての見解ということでございます。区独自の減税については、先ほど政経部から答弁いたしました5%減税推計額65億円の既に約2倍となるふるさと納税による流出額が123億と、約倍となっているという今、慎重にならざるを得ないと考えています。子育て世代の定着率向上については、減税実施をしている自治体の例を踏まえると、必ずしも効果があるとまでは言い切れないのではないかと考えております。

区としましては、若者支援策の中でも生活のベースとなる住宅支援に鍵があるというふうに考えておりまして、子育て支援、居住支援等、全般的な生活ベースを支えるというところに投資をしながら、誰もが子どもを産み育てることができる、そして、世田谷に住み続け、子どもを育てることができる地域社会を構築することで、子ども・子育て世帯の定着を図り、安定的な区政運営をできるよう挑んでまいります。

 

○11番 若林りさ議員 区長の御答弁の中では、ふるさと納税の影響を踏まえて減税には慎重な姿勢を捉えていること、また、定着率の向上についても、減税による効果は見込めないというのが区長の御判断であると受け止めました。

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《まとめ》

物価高や社会保障負担の増加の中で、「少しでも減税してほしい」という区民の声が増えていることを取り上げました。世田谷区では特に30〜40代の子育て世代の区外転出が続いており、住宅費や税負担の重さがその一因ではないかと指摘し、減税が定住促進や税収安定につながる可能性について質問しました。

私は、名古屋市で行われている市民税5%減税を例に挙げ、世田谷区で同様の減税をした場合の試算を求めました。これに対し区は、仮に区民税を5%減税した場合、年間で約65億円の税収減となり、区民一人あたり平均1万3,200円の軽減になると試算を示しました。ただし、本区ではふるさと納税による流出額が年間123億円に上っているため、区独自の減税には慎重であると答弁。また、子育て世代の転出理由には住宅購入や転勤など生活環境の変化が多く、経済的負担も一因と認識していると説明しました。区長は、減税よりも住宅支援や子育て支援など生活基盤の充実に重点を置き、誰もが安心して子どもを育て、住み続けられる地域社会づくりを進める考えを示しました。

今回の質問を通じて、区独自でも制度上は減税が可能であることや、その影響の大きさを具体的に示すことができました。減税・給付いずれの手法にも課題はありますが、区民にとって本当に有効で持続可能な政策のあり方を考える上で、議論を深めることの重要性を改めて実感しました。

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