日本維新の会 世田谷区議会議員 若林りさ
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議会質問

2025.05.21

1.「出産・子育て支援について」なぜ世田谷の支援が少ない?支援制度の見直しを提案!–港区は31万円、足立区の10万円に対し、世田谷区は5万円の現状!不妊治療も独自の支援なし!【令和7年第1回定例会】

【令和7年2月第1回定例会 一般質問】

1.「出産・子育て支援について」(質問数3)

*全文を掲載しておりますが、最後の《まとめ》をご覧いただくことで、内容を簡潔にご理解いただけます。

<質問全文>

初めに、出産・子育て支援について伺います。出産費用について、従来の個人の負担を前提とした 上での助成という考え方から、社会全体で支える公的負担という考え方へのパラダイムシフトが求められています。実際都内の出産費用は平均65万円と、国の出産育児一時金50万円を大きく上回り、さらに無痛分娩などを選択する場合は追加費用が必要となります。こうした状況下で、東京都は無痛分娩への助成を決定するなど、出産に関する経済的負担の軽減に向けた動きを見せています。
しかし、より根本的な制度設計の転換、すなわち出産費用の無償化を目指すべきではないかと考えます。
他区の状況を見ても、足立区では10万円、港区では31万円の補助があり、世田谷区の5万円という補助額が相対的に少ないのが現状です。なぜ世田谷区は十分な支援を提供できていないのか、区としての方針が問われます。
そこで伺います。出産費用について、原則として無償化を目指すべきと考えるところ、区の見解を伺います。

出産前からの切れ目のない支援を実現するためには、不妊治療への支援も重要な課題です。2022年4月から保険適用が拡大されたものの、依然として保険適用外の治療が存在し、世田谷区では保険適用分及び特定不妊治療費(先進医療)に対する独自の助成制度がない状況です。不妊治療にかかる費用は経済的負担が大きな壁となっているケースが多く、特に先進医療として行われる特定不妊治療費は一回に当たり数十万円に上ることもあります。
さらに、複数回の治療を要する場合も多いため、経済的理由で治療を断念せざるを得ない方も少なくありません。そうした経済的負担を軽減させるために、近隣の目黒区や大田区では不妊治療への上乗せ補助として5万円、渋谷区や中央区では10万円、港区では30万円の助成を実施しています。
東京都に数を確認してみたところ、都内全体で20の区市町村が上乗せ補助を行っているということが分かりました。多くの自治体が助成を行っているにもかかわらず、世田谷区が独自の支援を行わない理由は何なのでしょうか。世田谷区においても、保険適用分及び特定不妊治療費に対する助成を行うべきと考えますが、区の見解を伺います。

子育て支援の在り方について、重要な論点の一つとして所得制限の問題があります。現行の子育て支援策には多くの所得制限が設けられており、それによって、本来支援を必要とする世帯が対象外となる制度の谷間の問題が生じています。我が党は国政においても教育の完全無償化を訴えるとともに、所得制限のない普遍的な支援の実現を目指しています。これは、子育て支援を福祉ではなく、社会全体で支える社会的インフラとして位置づける考え方に基づくものです。現行制度において僅かな収入の違いで支援対象から外れ、結果として可処分所得が減少するという矛盾が生じています。子育て支援策について、所得制限を見直し、より普遍的な支援体制を構築することが一つの理想と考えますが、区の見解を伺います。

 

→《区の答弁》

○松本子ども・若者部長
私からは、2点御答弁いたします。初めに、出産費用の無償化を目指すべきとの御質問についてです。区では、令和5年度より、全ての出産に対して、出生児一人につき5万円の出産費助成金を支給しており、年間約5500人に助成を行っております。出産費助成の制度検討においては、東京都内における正常分娩の出産費用の平均額約57万円から、健康保険から支給される出産育児一時金50万円を差し引き、自己負担額を試算しております。一方、国においては、令和8年度より正常分娩での出産費用に公的医療保険を適用し、自己負担を求めない方向で検討に入っており、出産に関する支援等のさらなる強化を進めるものと承知しております。区といたしましては、こうした国の動向を踏まえた上で、今後の出産費助成の在り方について検討してまいります。

次に、出産・子育て支援における所得制限の見直しについてです。普遍的な子育て支援の実現に向け、区では、国や都の財源を活用し、様々な給付事業等を行っております。未就学期では、「せたがや0→1(ぜろいち)子育てエール」やバースデーサポート事業などの伴走型支援を所得制限を設けず実施しているところです。また、国の制度であります児童手当につきましては、令和6年10月分より所得制限が撤廃となり、支給対象児童が高校生相当世代まで延長されました。さらに、複数のひとり親家庭への支援事業につきましても、令和6年8月より、所得制限が撤廃や緩和されております。このように所得制限が撤廃となる事業も多くなる中で、子どもの貧困対策が目的の事業については格差是正等の観点から所得制限を設けております。所得制限の有無につきましては、子育て世帯を支える持続可能な仕組みとして、区の財源等も考慮し、それぞれの事業に応じて支援がしっかり行き届くよう、今後ともその適切なバランスについて検討してまいります。以上です。

○向山世田谷保健所長
私からは、保険適用分並びに特定不妊治療費の助成についてのお尋ねにお答え申し上げます。令和4年4月に体外受精と不妊治療が保険適用となり、同時に、東京都は、保険適用と併用して、自費で実施される先進医療に関わる費用の7 割を助成する事業を実施しておりますが、保険診療における自己負担割合との整合を図った助成割合であるものと認識しております。近年、不妊治療は進歩を遂げる一方で、経済的・身体的負担とともに、職場や周囲の理解不足や治療選択そのものに関する心理的負担も大きいことから、区は令和5 年1 月から妊活オンライン相談事業を開始し、不妊に悩む方や将来の妊娠、出産を望む方々を支援しています。区独自の不妊治療への助成につきましては、社会保障制度を含めた公的負担と自己負担のバランス等、公平性も勘案する必要があると考えており、相談事業における区民からの相談内容の把握に努めるとともに、都及び他区の動向を注視してまいります。私からは以上です。

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《まとめ》

出産・不妊治療・子育て支援の見直しを提案

都内の出産費用は平均65万円と高額で、無痛分娩などを選ぶとさらに費用がかかり、国の出産育児一時金(50万円)ではカバーしきれません。世田谷区の出産費助成は5万円にとどまり、港区の31万円、足立区の10万円と比べても支援が不十分です。国が将来的に無償化を検討している今、区としても積極的な見直しが求められます。

また、不妊治療に関しても、都内20区市町村が独自の助成を行っている中、世田谷区では経済的支援がなく、相談事業のみ。経済的理由で治療を諦めざるを得ない人も多く、支援の遅れが課題です。

子育て支援では、所得制限のためわずかな収入差で支援から漏れる「制度の谷間」の世帯が問題となっています。子育てを社会インフラと捉え、より普遍的で持続可能な支援体制への転換が必要です。世田谷区としての方針が問われます。

区の回答として、国の児童手当やひとり親家庭支援でも所得制限の撤廃・緩和が進んでいるとしつつ、支援の持続性や公平性の観点から、事業ごとに適切なバランスを検討していくとしました。

 

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