日本維新の会 世田谷区議会議員 若林りさ
未来は、変えられる。

応援する

Follow us

My Assembly Work

議会質問

2025.03.12

6.「地域猫政策について」助成金だけでは足りない?申請も捕獲も分かりやすく!地域猫対策の“現場の声”に即した見直しを要望!【令和7年予算特別委員会】

【令和7年3月第1回定例会 予算特別委員会】福祉保健領域

6.「地域猫政策について」(質問数4+要望4)【福祉保健】

*全文を掲載しておりますが、最後の《まとめ》をご覧いただくことで、内容を簡潔にご理解いただけます。

<質問全文>

○若林りさ委員 日本維新の会の福祉保健領域の質疑を始めます。

まず、地域猫政策における助成金と動物病院の料金設定の問題について質問いたします。昨年度より地域猫の助成金が増額されたことは評価しておりますが、一部の動物病院が料金を引き上げることで助成金の効果が十分に発揮されず、いわばいたちごっこの状態となっている事例があると伺っています。この状況は自由診療の性質上、料金の上限を設定することが難しいのは理解しています。しかし、助成金を増額するだけでは根本的な解決にはつながらず、持続可能な地域猫対策として適切とは言えません。

そこで伺います。助成金が適正に活用されるための制度設計や、動物病院との適切な連携の在り方について、区はどのような対応策を考えているのでしょうか。

 

○清水世田谷保健所副所長 区は、東京都獣医師会世田谷支部と協定を締結し、地域の環境被害を少なくするため、飼い主のいない猫の不妊・去勢手術費用の補助を実施しております。

委員お話しのように、自由診療であることから料金の上限の設定は難しいものと認識をしております。今後、参考となる他の自治体の制度や活用状況を参考にしつつ、獣医師会に事業実績やボランティア団体、動物連絡員等から寄せられる意見等の情報提供を行い、よりよい制度や連携について意見交換を行うなど、地域猫活動のさらなる発展につなげていきたいと考えております。

 

○若林りさ委員 ぜひ意見交換を通じて現場の声を反映し、新たな解決策を検討していただきたいと思います。

都内では中央区、中野区、狛江市などが、どうぶつ基金の行政枠チケットを活用し、地域猫の不妊・去勢手術を無償化しています。世田谷区でも導入の可能性を検討し、運用に向けた議論を進めていただくよう要望をいたします。

 

次に、地域猫に関する電子申請制度の運用について質問いたします。電子申請の導入が実現したことは大きな前進であり評価いたしますが、申請時に猫の毛色や種類等の識別情報の記載が求められている点に課題があります。猫は通常、複数生まれるため、どの猫を捕獲できるか事前に確定できず、登録が難しくなります。そのため、申請した毛色や種類と異なる猫が捕獲された場合、申請が通らず、再申請が必要となるケースが生じています。

他自治体では捕獲後に猫の特徴を記載できる仕組みや、申請内容の修正を可能とするフレキシブルな対応を行っていると聞いています。世田谷区でも同様の改善を行い、申請者の負担を軽減すべきではないでしょうか。今後の改善方針について伺います。

 

○清水世田谷保健所副所長 飼い主のいない猫の不妊・去勢手術費用補助金は、東京都獣医師会世田谷支部との協定に基づき、補助金は獣医師会が代理受領をしております。申請者は手術を受ける前に補助金交付の決定を受け、交付決定通知書の副本を獣医師会加盟病院に持参することで、補助金額を差し引いた金額で手術を受けることができます。

毛色や特徴については、補助金交付の対象となる猫を特定する必要があることから、確認できる範囲で申請者に記載をお願いしており、年齢、性別が不明な場合は一旦その旨を記入いただいております。補助金交付決定時には名称及び性別について、雄、雌または不明を確定し、通知をしており、訂正の必要はないような仕組みとなっております。

 

○若林りさ委員 性別は不明を選択できるようになっておりますが、現在、毛色や種類に加え、年齢、呼名までもが必須項目になっております。当然まだ名前のない猫もいるため、捕獲後に変更が可能など、その旨の説明等を追加する、もしくは必須項目ではなくすなど、目に見える形での改善を要望いたします。このままでは捕獲した猫を他自治体へ持ち込むケースが増えるおそれもあります。例えば大田区では申請なしで指定病院で直接手続が可能です。世田谷区でも、より利便性の向上を強く要望いたします。

 

次に、捕獲器の貸出し状況と周知について質問いたします。現在、世田谷区の捕獲器の貸出し台数は三台のみと伺っています。一方、近隣の渋谷区では9台が用意されており、両区の面積比を考慮しても世田谷区の台数は少ないと言わざるを得ません。さらに、捕獲器を借りられること自体が十分に周知されておらず、活用が進んでいないという声も聞かれます。

地域猫活動を効果的に進めるためには捕獲器の台数を増やすとともに、貸出し制度の認知を高めるための広報活動を強化するべきではないでしょうか。区の見解を伺います。

 

○清水世田谷保健所副所長 世田谷区猫の捕獲器の貸出しに関する要綱に基づきまして、飼い主のいない猫に不妊・去勢手術を受けさせることを目的とし、実施をしております。猫の捕獲器は現在3台貸出し可能であり、令和6年度は全てを同時期に貸し出し、時宜を逸するような事態は発生をしてございませんでした。

一方、飼い主のいない猫の不妊・去勢手術費用補助金の申請件数は増加傾向にあることを踏まえまして、令和7年度には猫の捕獲器を5台に増やし、人と動物との調和の取れた共生社会の推進に努めてまいります。

 

○若林りさ委員 昨年から何度か所管に数を増やすよう要望してまいりましたが、捕獲器の増加が来年度から見込める点は評価いたします。しかし、貸出しについては、以前区のホームページにも情報がなく、周知不足が原因で利用が少なかったと考えられます。ホームページに情報を掲載することで、来年度以降、数が十分かどうかが分かるため、今後の運用や貸出しの周知強化を要望いたします。

 

最後に、地域猫活動の周知と支援について提案を含めた質問をいたします。地域猫活動は地域のボランティアの方々によって支えられていますが、猫の世話をめぐって近隣とのトラブルが発生することがあります。こうした状況の背景には、地域猫と野良猫の違いをまだ十分に理解していない方々が多いことや、こっそり餌やりをする人が増えていることが挙げられます。餌やりを禁止しても根本的な解決にはならず、むしろ餌やりをする場合は片づけや近隣への配慮、トイレの設置が必要という地域猫活動の正しい理解を広めることが重要です。

そこで提案ですが、地域猫活動支援バッグや、地域猫活動周知のための餌入れやシール、腕章等など、区が活動を公認していることが視覚的に分かる支援ツールを導入してはいかがでしょうか。こうしたツールにより、活動の正当性が示され、地域での理解も進むと考えますが、地域猫活動の周知と理解促進のための新たな取組について区のお考えを伺います。

 

○清水世田谷保健所副所長 地域住民、ボランティア、行政の三者が協働し、飼い主のいない猫を増やさないよう、地域猫活動セミナーを開催してございます。ボランティアの皆様に、人と動物との調和の取れた共生社会の推進に向け、セミナーの周知や普及啓発を推進しております。ボランティアが地域において地域住民との相互理解の下に安心して活動する必要があることを踏まえ、ボランティア活動中と分かる物品の配布については、地域猫活動の趣旨を理解した適切な活動をしているボランティアに関して導入する方策を検討してまいります。

 

○若林りさ委員 導入する方策を検討していただけるとのこと、前向きな御答弁でうれしく思います。その際は、よりデザインにもこだわり、地域猫活動が根づくような取組となるようお願いいたします。

以上で私からの質問を終わります。

 

===========

《まとめ》

地域猫対策、助成の拡充だけでは不十分?――持続可能な制度設計と周知強化を要望

地域猫対策に関する助成金制度や運用面の課題について質疑を行いました。

まず、助成金の増額が進んだ一方で、一部の動物病院で手術費用が上がる“いたちごっこ”の状況に触れ、制度が本当に機能しているのかを指摘。自由診療のため料金上限の設定は難しいものの、東京都獣医師会世田谷支部との連携強化や他自治体の先進事例を参考にした制度見直しを要望しました。

また、電子申請の運用についても課題を指摘。現行制度では猫の毛色や年齢、呼び名などの記載が必須で、実態と合わず負担になっていることから、他自治体のような柔軟な申請・修正が可能な仕組みに改善すべきと訴えました。

さらに、捕獲器の台数が世田谷区では現在3台しかなく、渋谷区(9台)に比べても不足している点を問題視。来年度に5台へ増加する見込みは評価しつつ、これまで十分に周知されていなかったことを指摘し、今後は広報強化を求めました。(→指摘したことでHPに情報が掲載されました!)

最後に、地域猫活動を巡るトラブル防止と理解促進のため、区が認可していることが視覚的に伝わる「支援ツール(腕章や餌入れ、シールなど)」の導入を提案。区も前向きに検討する姿勢を示しました。

  • 6.「地域猫政策について」助成金だけでは足りない?申請も捕獲も分かりやすく!地域猫対策の“現場の声”に即した見直しを要望!【令和7年予算特別委員会】